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こんにちは、カウンセリングサービスの町村ゆきです。

ブログにお越しくださりありがとうございます。

こちらの記事は前回からの続きとなります。




母はその後も鬼母っぷりを発揮していきました。

私のブランドのバックを黙って質にいれて、そのお金でパチンコをやったり、妹の奨学金もパチンコで使い込んでしまったり、私が大人になってからも私の貯金に手をつけたりしました。

でも、母がもっと最悪なのは、自分のやったそれらのことを逆ギレして
「知らない!」と言い張り、居直り続けてきたことです。

そして、親戚や知り合いからお金を借りる時には、私や妹にお金がかかると嘘をついてお金を借りていたので、親戚の集まりがあるときには、

「迷惑ばっかりかけて!親不幸をするんじゃないぞ。」

と、私は大人になっても身に覚えのないことで、説教をされていました。

私はその度に、母がまた嘘をついて親戚にお金の無心したんだと思い、度重なる母の嘘にとうとう怒りが噴火しました。

もう、あいつのことを絶対に許さない!!

この恨み、あいつが死んでも、絶対に許さない!!

当時の私はそう思い、母に対して、徹底抗戦の構えで挑んでいました。

母が家に来た後は、部屋の中に無くなったものがないかくまなく探し、自分の財布もチェックし、ちょっとでも不自然なことがあれば、母のところに行き、敏腕捜査官のように取り調べをしていました。

近くのパチンコ屋も、私は常に巡回パトロールしていて、見つけた時には母を引きずりながら帰ってきた事もありました。

私の激昂で、だんだんと母は自分の非を認めるようになっていきましたが、私は謝られれば謝られるほど、今までされたことの数々を思い出して嫌な気持ちになるばかりで、母を許すことは出来ませんでした。

ある時、カウンセリングで、母にされた今までの酷いことを話したことがあります。

その時のカウンセラーさんは涙を流しながら一言、

「今まで、良く頑張ってきたね。生きててくれてありがとうね。」

と言ってくれました。続けて、

「ゆきちゃんの気持ち、お母さんに分かって貰いたかったね。」

そう言われて、私は、それまでの人生で涙なんて流したことなどなかったのですが、その時は胸から込み上げてくるものを抑えることが出来ずに、大声で泣きました。

※私は今でもずっとこの方のことを「育てのお母さん」と、慕っております。

その後、私もそんなカウンセラーさんのような人になりたいと強く想い、カウンセリングサービスの母体である神戸メンタルサービスの、カウンセラー養成コースに入りました。

そこでは、ヒーリングワークという心理療法を使ったグループ実習が行われていたり、心理学を深く学ぶための講座も開催されていました。

これで、私ももう苦しまなくて済む。と思っていましたが、ワークや講座に参加するたびに、母への怒りは治まるどころか、さらに増していきました。


あるワークの時、師匠が話をしてくださいました。

「あなたが気分が悪いのは、あなたのお父さんやお母さんが、あなたを愛してくれなかったからではありません。あなたが気分が悪いのは、あなたが両親への愛を止めたからなんです。」

はぁぁ?! 何言っちゃってんの?

私はとっさにそう思いましたが、でも母のことが頭によぎりました。

・・・母を愛していないのは私。

話を黙って聞いていたのですが、私は師匠と目が合って、

「お母さんを許す大きな愛のあなたになることを、あなたは自分に許しますか?」

師匠の言葉は、私に向かって言ってるようでした。

私はその時、体がカッと熱くなり全身が震えてきました。


なんだよ、ふざけんなよ・・・

あいつがもっとまともな親で、ちゃんと私を育ててくれてたら、私は普通の女の子として生きてこれたんだぞ・・・

あいつのせいで・・・ あいつのせいで・・・ 

あいつの娘で生まれてきたことで、私がどれだけ苦しんできたのか分かってんのかよ・・・

ふざけるなっ!!!

あんな奴、どう許せっていうんだよ!!!


そんな込み上げてくる怒りに、めちゃくちゃに怒り狂ってやりたい気持ちになったけど、でも、その時は、何故だかその場から一歩も動けず、次から次へと涙が流れてきて、私は長い時間泣き続けました。

私は、ずっと私に嘘をつき続け、私を裏切り、私から奪い、私の気持ちを蔑ろにしてきた母を、絶対に許さないと決めて生きてきました。

その為、騙されないように、傷つけられないようにといつも母を疑うだけの人生を歩いてきてしまった自分自身とその時出会ってしまい、そんな自分の人生を初めて振り返った時に、母を許せない苦しみで自分が苦しんでいることに気づきました。

そして、私は、母を許さないことで母を信じずにいることは出来たけど、いつも心のどこかで本当は母と繋がりを求めていた自分がいたことにも気づいてしまいました。

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その後、カウンセリングを受ける中で、自分の中にも母と同じ罪悪感があることが何となく分かってきました。

だって、大きい声じゃ言えないけど、私だって夫や子供に隠れてパチンコをしてました。

母を探しに行って、母を見つけるたびに怒りが込み上げてきて、自分の怒りを母のせいにしてパチンコにぶつけまくっていたんです。

それから、旦那にも子供にも自分のイライラの全部をぶつけていました。

特に子供たちには、私が小さい頃に母にされてきた以上に威圧的な態度で振舞っていました。

そして、それらの所業も家族に非難されたら、あの母のように言い訳ばかりしていたんです。

私は、母にずっと自分の気持ちを思い知らせたい一心で母のことを見張ってばかりいたけど、長い間、夫や子供たちのことは全く見てこなかった・・・。

私は、母と同じ人生を歩いてきてしまった・・・。

そんな自分の罪悪感の中身と出会い、自分の痛みや苦しみをただ理解することだけで、同時に母が抱えていた痛みや苦しみも、自動的に理解している自分がいて、それは本当に嫌だったけど、自分の心の中を見ないふりをすることも、もう出来なくなっていました。


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私は、どんどんと母に想いを寄せるようになっていきました。

そして、やがてそれは罪悪感の奥にある愛へと繋がっていきました。

母に見てもらえない、触れてもらえない寂しさを感じていたけど、もしかしたら母も同じように、小さい頃から家族に見てもらえなかったのかもしれないな、と母のことをあれこれと想うようになり、

本当は、私のことも妹のことも、大好きで抱きしめたかったけど、パチンコばっかりして、家の中で当たり散らす自分自身を母親として受け入れられなくて、あんな鬼のように振舞っていたのかもしれないな。とか、

福島から一人でお父さんのいる大阪に嫁いで、浮気されて離婚して、子供二人抱えてお金もなくて、誰にも頼ることも出来なくて、不安だったよね。そりゃ、パチンコに逃げたくもなるよ。とか、

そういえば、母はひどい母だったけど、昔から洗濯が大好きで、どんなに二日酔いでもパチンコに大負けしても、洗濯だけはしてくれて、いつも私たちに清潔な服や寝具で生活させてくれていたな。とか、

そんな色んな母の顔に想いを寄せていく中で、私は、【私がお母さんを大好きだったんだ!】という真実にやっとたどり着きました。

そして、私が自分の気持ちを素直に認めていくことで、母だって私が大好きだったんだな、と思う出来事も増えていきました。

去年、息子の一人暮らしがきっかけになったこともあり、母と二人で過ごす時間が増えました。

一緒にご飯を食べたり、買い物に行ったり、普通の母娘のように仲良く過ごしたりもしています。

心理学に出会ったからと言って、もちろん、最初から母とこんな風に関わる事なんかできなくて、時に私がかつての母のように、罵詈雑言を言いまくったこともあります。

母は、私の本気の愛にたじろいで、逃げまくった時期もあります。

お互いの恥ずかしさや恐れを、お互いに理解し合えるまで、時間はちょっとかかりました。

師匠が話の最後に言った

「許すということは、理解すること。」

の言葉に、母を理解することに抵抗は大きかったけど、私自身の問題として自分を理解していくことで、母との繋がりが見えて、私が手に入れた恩恵はとても大きいものでした。


母は、今はもうパチンコ無しの生活をしています。

「もう、パチンコなんかいつまでもやってられへんわ!」

なんて、ちょっと強がって言ったりもします。

あれだけ憎んだ母だから、私は全部をまるっと許すことは正直難しいと思う時もある。

でも、私は母が好き!それから洗濯も大好き!

これだけは胸を張って言えるのです。

私との会話でそんな風に母が強がって偉そうに言った時、私は心の中では、

・・・おい!散々やりやがったくせに、いい加減にしろよ!

って突っ込みたくなりますが、でも、私を安心させたくて恥ずかしさを乗り越えて、頑張って伝えてくれたのかも。と、想い直したりして。

私だって恥ずかしいけど、母の愛を受け取ってみようかなって思えるんです。

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今回、これを書くにあたり、先日、母に許可をもらいに行きました。

「全部、本当のことなんやから、うちのことはあんたの好きなように書いて。」

と、笑顔で言ってくれた母の顔を見て、その日は泣きながら自転車を漕いで帰ってきました。


お母さん、ありがとう。


長くなりましたが、読んでくださりありがとうございました。


町村ゆき



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