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こんにちは、町村ゆきです。
いつもありがとうございます。


アメブロ恋と仕事の心理学水曜日のテーマ素敵な愛の育て方に投稿した記事です。

よろしければお読みください。


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その日は久しぶりに娘と出かける日で、私は何日も前から楽しみにしていました。

娘が大人になってからは、私が娘をどこかに誘うといつも、

「面倒くさい」

この返しが定番だったので、娘と出かける機会は少なかったんですね。

この返しを見て、皆さんも「ん?!」って思われたかもしれませんが、私の娘は私に対して非常にテンションが低めなんです。

テンションが低い理由は娘自身の性格という部分もありますが、娘が小さかった頃の私がお世辞にも良い母親とは言えないお母さんだったことが影響しているのもあります。

身勝手で怒ってばかりいた私と一緒にいたことで、娘は小さい頃から私をあてにすることはせず、自分のことは何でも自分でやってきたんです。

なので、私に誘われると「今更言われても…」って気持ちになるのも分かります。

それでも、昔は口も聞いてくれなかった娘が、今は一言を返してくれることは、私にとっては本当に嬉しいことで、私は断られながらもよく娘を食事や買い物に誘ったりしていました。


そして先日、公開されている映画をどうしても観たかった私は断られ覚悟で娘を誘ってみました。

そしたらですね、あっさりとOKしてくれたんです。

実は娘もずっと観たいと思っていたそうで、私が送ったラインには、

「行くー!」

というメッセージが送られてきました。

私自身も久しぶりにゆっくり出来る日が出来たことと、大好きな娘と映画を観に行けることが本当に嬉しくて、前日から持ち物の準備をしたり次の日のことを想像してめちゃくちゃテンションが上がっていました。

当日、電車を乗り継いで映画館に向かうときも私は嬉しさで更にテンションが上がり、つい、車内で娘に大声で話かけ過ぎてしまい、娘から「ちょっと静かにして」って言われたくらいでした。

映画館に着いて一緒に映画を観て、終わって近くの中華料理屋さんで娘とランチを食べて、帰りはバスに乗って帰ってきました。

ご飯を食べている間も、娘はあまり私と話してはくれませんでしたが、映画を観ている時は真剣な眼差しで観ていたり、ランチで選んだメニューが美味しかったのか、「うんうん」と頷きながら食べていて、そんな娘の姿がとても可愛く愛おしくて、

私は、今日、娘とここに来れて本当に良かったって思っていました。


ところがです。


夕方、家について今日のことを思い出しながら良い気分で荷物を整理していたら、あるはずのものがないことに気づきました。

それは、私が大事なお出かけの時にいつも持ち歩いていたキャラクターのマスコットです。

これは、この日観た映画のアーティストをモチーフにしたキャラクターでもあり、私はこのマスコットのことをいつもお守りのように大切にしていました。

出かける時は汚れてしまったり紛失してしまうことが嫌で、いつもケースに入れて持ち歩いていたのですが、この日に限って荷物が多くなってしまったこともあり、マスコットをそのままバッグに入れて出かけたんです。

バックをひっくり返してどこを探しても、見つからない…。

私はだんだんと焦ってきて、もしかしたら家の中に忘れて出かけたのかもと、部屋中探しまくりました。

でもいくら探しても見つかりません。

どうしようって気持ちがどんどん大きくなり、私は血の気が引くような感覚を感じました。

何故かというとですね、このマスコットは前に妹からプレゼントしてもらったものだったからなんです。

妹はそのマスコットを発売当日の朝からショップに並んで、「お姉ちゃんの分も」ってお揃いで買って、私にプレゼントしてくれたんです。

そのマスコットはもう今は販売されておらず、ネットのフリマアプリではプレミアがついていて、簡単に買えるものでもありません。

それに、妹が私の為にと買ってくれた想いのこもったそのマスコットは、私にとっては特別な意味のあるものでした。

私は、そんな大切なものを無くした自分のことが許せなくて、自分に腹が立ってきました。

あんなにテンション上がってはしゃぎ過ぎたから、どこかで落としたんだ…。

妹がせっかくプレゼントしてくれたのに、落としたことにも気づかないで一日中いい気になって、私って本当にバカみたい…。

そんな自分を責める声が聞こえてきます。

娘のバックに間違って入っているか聞きたいですが、そんなことを娘に聞いたら、今日、はしゃぎ過ぎた私のことをきっとバカだと思うだろうし、きっとまた「面倒くさい」ことを押し付けられたって思うよねって気持ちにもなり、聞くこともできずにいました。


そんなことを思っていると、娘から電話がかかってきたんです。

「お母さん、今日めっちゃ楽しかったねー!、誘ってくれてありがとう!」

その声を聞いて、私はなんだか涙が出てきそうになりました。

私は暫く黙ってしまい、それに気づいた娘が「お母さんどうしたの?」って声をかけてくれて、私はマスコットを落としてしまったことを娘に話しました。

「ごめんね、お母さん、ちょっと元気ないんだよ」

って伝えると娘はすぐに、

「お母さん何やってるの!!元気ないとかそんなの良いから早く探すよ!」

って私に言ってきて、私は娘に促されるまま今日乗った電車の駅に電話をかけて問い合わせをしました。

落とし物を駅員さんに調べてもらっている間、私のスマホの画面には、

「映画館、今確認してもらっているため、連絡待ち」
「中華屋さん忘れ物なし」
「〇〇バス、車庫に戻り次第確認のため、連絡待ち」

次々に娘からラインの通知が送られてきました。

娘は、今日、私たちが辿ったところを調べて連絡して聞いてくれていたのです。

次々に来る娘のラインのメッセージを見て、私は涙が出てきてしまいました。


この日、二人であちこち問い合わせをして、駅までの道も探しましたが結局マスコットは見つかりませんでした。

妹にも連絡をして落としてしまって見つからなかったことを伝えて謝りました。

妹は「気にしなくていいよー」って言ってくれましたが、私はやっぱり自分のことが許せなくて、その日は夜になってもひどく落ち込んでいました。


そんな時、娘が私を心配して再度電話をくれたんです。

何を言っても落ち込む私に、娘は、

「きっとその子、身代わりになってお母さんのことを守るために姿を消したのかもしれないよ?」
「お母さんと私が今日一日楽しく過ごせたことは、この子のお陰だったのかもしれないよ?」
「今は悲しいけど、悲しみが済んだら感謝してあげようよ」

こんな言葉をかけてくれたのです。


衝撃でした。

落ち込み、自分を責めまくっている私には全くない視点でした。

そして私はこの時、娘が私の為に一生懸命に関わってくれていることに気づきました。

夕方だってあちこちを一緒に探してくれて、今だって私の為に声をかけてくれているじゃないか。

私はいつまでも自分は許されないことをしたと自分を責めていたけど、私は娘に今もなお、許され続けているじゃないか。

娘の「面倒くさい」という言葉だけにとらわれて、自分の罪悪感に引っ張られ、いつも娘に気を使って遠慮していた自分を恥ずかしく思いました。

私が思うより娘の愛はずっと強くて大きくて、きっとそれは、ずっと昔から変わらずあったのだとこの時改めて実感したんです。

私は気を取り直して、電話の向こうの娘に

「本当にありがとう、お母さん、もう元気出す!!」

と、伝えました。


今回の一件で、私は大切なものを失ったけど、もっと大切なものがあったことに気づかされました。

それは、私のことを私が想うより大切に想ってくれていたという娘の愛です。

失ったことはとても悲しい出来事でしたが、失ったことで娘の愛に触れることが出来て、

あのマスコットは、私たちを守ってくれただけでなく、私に娘の愛を気づかせるために私の元から去ったのかもしれないなって思いました。


出来れば失う前に気づきたいものですが、きっと人生では、そんなふうに失ってからじゃないと気づけなかったり、失って初めて手に入るものがあるんだなって思いました。



最後までお読みくださりありがとうございました。




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