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こんにちは、町村ゆきです。
いつもありがとうございます。


アメブロ恋と仕事の心理学水曜日のテーマ素敵な愛の育て方に投稿した記事です。
よろしければお読みください。



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先週、母の誕生日がありました。 


誕生日会は我が家の恒例行事なので今年も母と私、私の子供も集まってお祝いをしました。

お祝いの料理はもちろん、母へのプレゼントは特に気合が入ります。

日頃から好きだと言っていたものや、趣味に合わせて考えに考えてプレゼントを贈りました。

みんなからプレゼントをもらった母は、涙をにじませながら何度も「ありがとう」って言っていて、それを見て家族で笑うというのが毎年のお約束になっています。

今は母の喜ぶ顔を見て私も嬉しいと心から思えるのですが、でも、数年前まではそう思えませんでした。

何故かというと、母へのプレゼントに自信が持てなかったからです。 


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私が小学校4年生の頃のこと。

その日は母が朝から出かける用事があって、私は3つ下の妹と夕方まで過ごすことになりました。

当時は母子家庭でお金もなかったのですが、この日は母が特別に「あんたらの好きなものを買いな」と私と妹に2000円をくれたのです。

2000円なんて大金はお年玉でしかもらったことがありませんから、私と妹は大喜びをして、母が出かけた後二人で駅前のデパートに行きました。 

今日は2000円もあるから本も買えるし、欲しかった文房具も買えるし、ソフトクリームも食べようとワクワクしていました。

すると、入口を入ってすぐのところにあるアクセサリーのワゴンセールが目に入りました。 

どれも綺麗で、私と妹はそのアクセサリーを手に取ってみたり、一番綺麗なのを見つける競争をしてはしゃいでいました。 

アクセサリーが本当に綺麗で、とても楽しくて、

私はふと、これをお母さんにプレゼントしたいって思ったのです。

私が持っているお金は2000円です。
これを使ったら私と妹の欲しいものは買えません。

でも、この時の私はどうしてもお母さんに、綺麗なアクセサリーを見せたいと思ったのです。

妹にもお母さんにプレゼントをしたいことを伝えて、私と妹はそのワゴンの中にある商品の中から、一番綺麗でお母さんに似合いそうなエメラルドのネックレスを選びました。

イミテーションなのでエメラルドも本物ではなく2000円の安価なものでしたが、私と妹にとっては、最高に素敵なネックレスです。

お店の人に、「お母さんにプレゼントします」と伝えて可愛くラッピングしてもらい、その日はどこにも寄らずに家に帰ってお母さんを待ちました。


夕方になってやっとお母さんが帰ってくると、私と妹はラッピングされたネックレスを真っ先に渡しに行きました。 

「どうしたの?」
驚いた顔をしたお母さんが私に問いかけます。

私は恥ずかしがりながら「これ、プレゼント」って言いました。 

ちゃんとしたプレゼントを渡すのは初めてだったので、きっとお母さんは喜ぶだろうとお母さんが箱を開けるのをドキドキしながら見ていたのですが、

ネックレスを見たお母さんはなぜか険しい表情になり、

「これ、いくらしたん?」と私に言いました。

私が2000円だったことを伝えると、お母さんはものすごい剣幕で私を怒鳴りつけました。

「こんなのせーへんから、すぐに返してき!!」


お母さん、喜ばなかった…。
お母さん、こんなのいらないって言った…。
またお母さんを怒らせた…。

私は急いで包みとネックレスを持ってお店に走りました。
お店に行く途中、バカな自分に涙が溢れてきました。

返品の手続きを済ませた私は2000円を受け取り、元来た道を駆け出しました。
ネックレスを買って帰った時よりも家がずっと遠くに感じました。


 *** 


その後、このことは私の中では忘れ去っていた出来事だったのですが、数年前にカウンセリングを受けていた時にふと思い出したのです。

カウンセリング当時の私は自分のことを役立たずで無能な人間だとよく責めていて、

カウンセラーから「どうして自分のことをそんなに役立たずだと思うの?」と質問された時に、このネックレスの出来事が蘇ってきたのです。

子供の頃の私は、母が喜ばなかったことや、ネックレスをいらないって言われたことで、自分のしたことはバカなことで悪いことだったのだと思っていましたが、

カウンセラーから、「お母さんに、ゆきちゃんの愛を受け取って貰いたかったね」と言われた時に、胸につかえていたものが一気に込み上げてきたのです。 


そうだ、私は、お母さんを喜ばせたかったんだ。
私は、お母さんが大好きだったんだ。 


涙と一緒に、子供の頃の私の母への想いが溢れてきました。

私は、母がすごく怒ったことで、自分のしたことが間違いだと思い込んでいましたが、でも、私と妹は子供ながらに一生懸命お母さんを喜ばそうとしたのです。

自分の愛に触れることが出来て、小学4年生の私はやっと許されたような気がしました。  


それからしばらく経って、母に一度だけこの出来事を聞いたことがあります。 

「お母さん、昔、私と妹でネックレスをプレゼントしたことがあるんだけど覚えてる?」

母に「知らない」と言われたらどうしようと思っていたのですが、 

「覚えてるよ、あの時、ウチはあんた達にひどいことを言ったね」 

と、はっきりと言ったのです。 

「あの頃は家にお金が無かったから、いつも我慢ばかりさせていたあんた達にどうしても好きなものを買わせてあげたかった」

「それなのに、2000円を全部ウチなんかの為に使ってきたから、もう、悔しくて腹が立って…」

「あの時はウチが本当に悪かった、本当にごめんね」  


そう話す母に私はもう一つ、どうしても気になっていた質問を投げかけました。 

あのネックレス、嬉しかった?ということです。

すると、母の目からぼろぼろと涙がこぼれて、

「本当は嬉しかった…。エメラルドの周りにダイヤが散りばめられてて可愛いネックレスやった…」 

涙声で絞り出すように言うので、私も泣いてしまいました。


お母さん、嬉しいって思ってくれてた…。
お母さん、私が覚えてないデザインのことまで覚えててくれてた…。 


私は、母の気持ちを聞くことが出来て本当に良かったと思いました。


2000円でどうしても子供を喜ばせてあげたかった母と、2000円でどうしても母を喜ばせたかった私。

なんか、母と自分が似てると思いました。 

私も母も、互いを愛したいという想いがあったのですが、互いの愛を受け取るということが分かりませんでした。(それにしても母の愛は分かりにく過ぎだと思います…(笑)

愛を受け取るということは、自分の価値を受け取ることでもあるので、特に、離婚や生活の困窮などで自分を責めていた当時の母は、子供からの愛を受け取ることは難しかったのかもしれません。


ネックレスの出来事は、毎年の母の誕生日に必ず思い出すエピソードなのですが、正直に言うと、思い出すと今でもちょっとだけ胸がチクッとします。

それは、あの時の悲しみを感じるからです。

でも、そこに愛があったとすれば?と自分に問うと、やっぱり愛があったと思えるのです。

小学4年生の私にも、母にも、たしかに愛があったのだと思えるのです。

愛と繋がれると、心はフッと軽くなって温かくなります。


そんな、笑いあり涙ありの母の誕生日。

来年もまた、母を喜ばせるプレゼントと料理でお祝いしたいと思います。



最後までお読みくださりありがとうございました。




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